
台湾映画、「モンガに散る(原題:艋舺 MONGA)」を観てきました。
今年、台湾でNo.1ヒット、「海角七号」に次いで歴代二位になったという作品です。
http://www.monga-chiru.com/
(※ムービーが流れます)
※海角七号について書いた過去の日記→★
さらにつっこんで書いたmixi日記→★
事前に知っていたのはヤクザ映画ということ。
暴力、ケンカ、流血、男の友情…普段なら絶対観ないジャンルです。
が、台湾映画です。
台湾のことなら何でも知りたい病です。
観ることにしました。
よく作り上げられた映画です。暴力シーンはやっぱり苦手で心臓がバクバクしてしんどくなってしまいますが、状況の変化に煽られて、人の心情や、関係が少しずつずれていく様には自然に共感、引きこまれました。
黒社会に足を突っ込んだやつらにも関わらず、登場人物の中にやさしさとか、のんびりした空気を感じる部分には、私の好きな台湾があるなぁと思ったのですが、登場人物にリアリティがあるというのはこの映画の大きな要素だったと思います。若い主人公たちが、悪ぶっててもビビるときは普通にビビったり、愛嬌は隠しようもなかったり…。登場人物それぞれの性格、内に抱えているもの、置かれた状況と物語のリンクの仕方が素晴らしく、映画の密度がぐいーーっと高まっていたように思います。
父親不在のモスキートが無意識に求めていたもの、どうしようもない時代変化の渦の中で、頭が切れるが故に決定的な引き金を引いてしまうことになるモンク、年老いた父親を一人で守りながら暮らす白ザル(役のニックネームです)が、仲間内の世界でもやはり一人きりで戦いに飛び出していくシーンも苦しいです。
ヤクザ映画とはいえ、環境が大きく変わる中、「ナンバー2」である主人公がどう行動するのか、リーダーを守るべきか切るべきか、本当にそうするしかなかったのか、自分自身にも感情はあるし身も守らなくてはいけない…という状況は普遍的で、いろいろな見方ができておもしろいのではないかと思います。
あと、この映画に限りませんが、台湾映画って外国映画(ドラマ)にありがちな、今の表現ちょっと意味わかんないけど、こういうこと…?というような、感情表現への違和感というのがあんまりありません。普通に日本人見てるのと同じように理解できる。
顔立ちが似てるのもあると思うのですが、それも物語に入り込みやすかった理由かな。
素敵だと思ったのは、この映画がNo.1になった、台湾の人の感性です。わかりにくくは決してないし、よく練られた台本なのですが、仮にこれが日本映画だったとして「大」ヒットにはならないだろうなぁと。
台湾の映画事情に詳しいわけではないので言い切ることはできないのですが、少なくともハリウッド映画レベルのものは日本と同じように入ってると思います。そんな中でこの映画が「1番」になるのってすごい。(同時期に公開されたアバターは抜いたそうですので…)
音楽でも、ロックよりもボサノバが大人気というお国柄だそうですが、わかりやすさ/派手さ/目新しさにひっぱられるのではなく、じっくり受け止めるところにおもしろさがある、こういうものが国民的に受け入れられるというのはすごいなぁと思いました。
モンガという地名には「小舟」という意味があるそうです。
映画を観てしばらくしてから思ったのですが、描かれるモンガの姿は、台湾そのものではないのかと。
舞台は80年代。のさばり始める大陸勢力に対する反発と同調、主人公が小さくつぶやく日本への憧れ。
監督の意向がどうだったかはわからないのですが、一旦そう思うとそうとしか思えない…
…と思ってたら、監督インタビューありました。
やっぱりそうみたいです。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/101224/tnr1012240746005-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/cnews/20101224-OYT8T00565.htm
ちなみにこのニウ・チェンザー(鈕承澤)監督、元々俳優さんで、自身もある役で登場しているのですが、すごくいいです。なんだろう、あのスッとした、なのにすごい存在感…
主人公の一人、モンクを演じたイーサン・ルアン(阮經天)も静かなのに凄みもあって良いのですが、調べたらこの二人は師弟関係みたいな感じらしくて、なんか納得でした。