【映画】あの頃、君を追いかけた(那些年,我們一起追的女孩)

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地味にじわじわ来る映画。

完全に男子、それも優等生じゃなくて、幼稚な、学校内でも「問題児」扱いされている男の子の目線でストーリーは進む。そのためか、どうしてもストーリーすべてに共感できるわけではない。
私が女で、どっちかというと優等生だったせいもあると思うが、主人公であるカートンの「おバカさ」には、ああ、こういう男子いるなぁ〜というリアルさは感じるものの、なんでそうなのか?は全然理解できない。(ちなみに、この点、主人公を演じる柯震東が、すごーくいい。10代後半の、体ばかり大きくてまだまだ幼い、パワーを持て余した男の子の姿を、ものすごくリアルに演じている。)
その主人公の目線で描かれるヒロイン(チアイー)の姿というのも、優等生で、ちょっと可愛いというだけで、どこが魅力で何故好きになったのか、正直わからない。
所謂進学校に通っていた私の周りにいた男の子たちは、カートンみたいなタイプじゃなく、もうちょっと聡明で紳士なタイプの子が多かったから、そのことも影響しているかもしれないけど、
男の子たちが、なんでこぞってポニーテールが好きなのか、それも全然わからない(笑)

それでも、観ている間、何度も何度も心の何かをさらっていかれるような感覚に陥ったのは、その一つひとつの場面が、確かに自分自身が経験した、あの瞬間に共鳴するからなのだ。

徹底してパラレルワールドのストーリー。
あの時、もしああだったら。あのすれ違いがなかったら。
若い頃の恋愛(あるいは恋愛未満)というのは、どうしたって、勘違いで臆病で、憧れや妄想が強すぎて、現実的に関係を育むという理想からは程遠いものなんじゃないかと思う。(もちろん、そうじゃない関係もあるけど)
そこに、男女のずれ、優等生と問題児の見ている世界のずれが重なり、二人の道は、想いを抱いたままに、どんどん離れていってしまう。

ああ、青春。

そのパラレルワールドの夢物語の隙間に、この映画は、ハッとするような「現実」を挟んでくる。
例えば、チアイーがカートンに向けて投げかける「あなたは、想像上の私を好きなんじゃないかと思う」(説不定你喜歡上的…只是你想像出來的我)という疑問。
例えば、学生時代そこそこ優秀だった仲間が、社会に出てからは、いまいちパッとせず、くすぶっているという現実。
逆に、「最後に夢を叶えるのは、最も才能があった奴じゃない。最後まで絶対に諦めなかった奴だ」(最後會實現夢想的往往不是最有才華的人。而是直到最後也絶不放棄的那一個人)というセリフ。
ああ、そうなんです。まさにそうです。耳が痛い。

終盤、パラレルワールドの二人が幸せに結ばれる映像が何度も流れるが、この二人が、もし、何のすれ違いもなく歩いて来れたとしても、人生を共に歩むことはきっと叶わないであろうことは、観客である私たちも、大人になった主人公たちも、十分にわかっている。
男女の話だけではない。仲間だってそうだ。大人になって、それぞれの道を歩き出した私たちは、今もし、再び同じ時間を過ごすことになったとしても、きっと同じようには笑えない。それどころか、完全に袂を分かつことにさえなりかねないだろう。それくらい、価値観も、積み重ねてきたものも、目指すものも、違ってしまっている。

それでも、あの頃だって、今だって、仲間を思う、愛しい気持ちは、決して偽りじゃない。
描かれる幾つもの、「その瞬間」は、確かに仲間たちが共有した時間であり、間違いなく人生の、私たち仲間みんなの、宝物。
現実を知っているからこそ、ストーリーの中、ところどころ挟まれる現実に、いちいち目を覚まさせられるからこそ、「あの頃」はリアリティを持ち、観客である自身の記憶とも重なっていく。

ウォークマンを耳に突っ込んで、ダラダラと自転車で走る男の子たち。
チアイーが、前の席に座るカートンの背中をペンで突っついたり、椅子を蹴飛ばしたりする、教室内のたわいない場面。
幼稚ね、という言葉でしか、自分もまた、気持ちを伝えられない、その幼さ。
恋愛未満の二人が、電話で何度も長話する、まさに「あの頃」の関係。
あと、大地震の直後に、言い方は悪いがそれを口実に、あるいは、もちろん、本気で心配して、久しぶりに連絡を取り合うシーンも、同じ年代に大地震(映画では1999年9月の台湾の地震、私たちは1995年1月の阪神大震災)を経験しただけに、リアリティがある。

90年代後半を舞台にした、ありきたりの青春譚だと言えば、それまでである。
けれど、それぞれ、全く違うベクトルを向いている、一人ひとりの人生の、奇跡的に交差した瞬間のキラキラを、徹底して、ロマンチックな気持ちから冷めるぎりぎりのところで切り取って見せているところに、この映画の魅力はあると思った。
…この映画を、あの頃仲間だったみんなが観たら、どう思うのかなー…。知りたいような、知りたくないような。全然違う想いを抱いてたら、ちょっと寂しいもんね(苦笑)

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