インゲル・ヨハンネ・ラスムッセンさん

リテリング フェルト・アートの世界

リテリング フェルト・アートの世界
ノルウェーのテキスタイル作家、インゲル・ヨハンネ・ラスムッセンさんの本。
偶然書店で手に取ったのですが、すごく好きな色×パターンの世界でした。

日本人編集者である若井浩子さんとの共著になっていますが、若井さんのインゲルさんをリスペクトするまなざしがとても素敵。
インゲルさんの、創作にまつわる言葉にも引き込まれました。
また、中身は作品紹介にとどまらず、オスロの街の観光ガイドにもなりそうな素敵な内容になっています。(その分、もっと作品がみたい!!という気持ちにもなったのですが、それはまた次の楽しみにということにしましょう)

本の「感じ」も、とても好きだなぁ…と思ってたら、ディレクション&デザインが、私がこのところ「すごく好きかも!!」と思ってるディレクターさん/デザイン事務所によるもので、ますます嬉しくなりました。
色や構成の勉強にもなりそうだなー

長生きすべし。(小野竹喬展)

大阪市立美術館の小野竹喬展に行ってきました。

色、いろ、いろ!

展示は17歳頃から晩年、89歳までの作品を観ることができたのですが
その変遷は興味深いものでした。
(キャプションに、制作年だけでなく年齢表記があって、これはよかった。普通はあまりないよね…)

17歳〜20代前半の作品は、それはもちろん同じ年齢だった自分と比べればすごいので、私が評価する立場ではないのですが、
やっぱりそれなりに「若い」。端々まで細やかというわけではないし、世界観もまだそれほどというのは仕方ない感じ。

30代になるとぱっと、人としての世界が広がって……というふうに感じたけど、これは私が今30代だからで、40、50になって観たらやっぱり「まだ狭い」と感じるかもしれないけど……
でもまだ、自身の表現とか世界観よりも、若さのパワーのほうが溢れてしまってる印象。
色の強さきれいさはすでに表れてるんですが、構成とか、各要素のカタチ、バランスに関してはまだ「ものすげーー」て域には行ってないんだろうなぁと。

で、その後海外行ったりして少しずつ変わっていって
60代以降が、もうどんどん素晴らしくなるのです!!
「色彩画家」という表現がまさにそのとおり!で、本当にきれい。

モチーフなんて、空に雲がぷかぷか浮いてるだけ、とか、高原(何も無い)の斜面の向こうに雲が湧いてるだけ、とか、本当に何でもないものばっかりなのです。
それが、とにかく色の美しさだけで喜びいっぱいに表現されていて
いちいち、ひゃーとつぶやきながら観てしまいました。

89歳で亡くなる年まで、作品はどんどん変化し続けていて、常に喜びいっぱい。
人間長生きせなあかんなあと思いまいました。

公式サイトで観れる画像の中では

http://www.city.osaka.lg.jp/museum/page/0000048693.html

とか

http://www.city.osaka.lg.jp/museum/page/0000048696.html

が好きだなぁ。
他にももっといいのがあって、図録も買ったけど、実物を観たあとだとどうしても印刷はへぼいのが残念だなー。

あ、あと、作品の多くにはガラスがかぶせてあるんですが(どこの展覧会でもそうですが)、あれってどうにかならないのかなぁ。
観る人が映り込んでしまって、繊細な色の調子が一瞬「?」てなる。
反射しないガラスとかありそうなんだけど、どうなんでしょうか…

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ファッションが教えてくれること

ライバル

映画を観てきました。
ファッションが教えてくれること

米国版VOGUEの「鬼」編集長、アナ・ウィンターを追ったドキュメンタリーです。

こないだ観たマイケルのドキュメンタリーは、モノ作り系の皆さん(友だち、有名な方のブログ諸々)が良かった、観るべし!と異口同音で、実際そうだったんですけど、この映画も同じ事言えるかも。
ステージパフォーマンスの派手さ楽しさはないけども、雑誌のビジュアルづくりということから、よりリアルにズズーーン、と感じる面がありました。
***

「感性を仕事として成り立たせることの難しさ」
私は最初に雑貨メーカーに就職し、ハードすぎて体調を崩して退職したんですが、そのハードさの大きな理由の一つが「…わからん」ということでした。
ジャッジする人(上司、先輩)の言う「かわいい」がわからんかったのです。
こういう「わからん」をわかろうとする、そんな難しい事ありません。聞いて答えがあるわけじゃないし。
で、そのことについて、感性が合わなかったのね、と結論づけて自分の中では整理し終わってるんですが、
10年経って、そしてこの映画を観て、そこにもう1個プラス。

「感性の違う者同士がリスペクトしあって仕事をするには、自分の良いと思うものに関しての感性をとことん磨く意外にない。」

(以下ねたばれあるよ)

映画の中に、アナの20年来のライバルで、またアナの下で重要なスタッフとして働くグレイスというディレクターがいるんですが、この2人の関係がとっても興味深いのです。

アナは誌面に全面的に責任を追うワンマン編集長で、やり手ビジネスパーソン。
グレイスがディレクションした写真も容赦なく没にしまくります。
それに対して、呆れ、怒りながらも一切妥協しないグレイス。
アナは絶対こう言うと思うわ、といいながら、提案するのはあくまで自分が良いと思ったもの。

グレイスは現代的でシャープなものよりも、ヨーロッパ的で歴史の香りがするようなもの、曖昧なものが、時代のトレンドに関わらず好き。
長い付き合いでお互い理解しあってると言い、自分の感覚に絶対的な自信を持ちながらも、常に新しいものに向かってアンテナを伸ばし、実際ビジネスを成功させているアナに対するコンプレックスをグレイスは隠しません。

グレイスはモデル出身なのですが、もともとモデルやデザイナーに興味があったわけじゃなく、とにかくファッション写真を見るのが好きだった、という「感性の人」。
10代を過ごしたのは、注文したファッション誌が2-3ヶ月遅れでしか届かない田舎です。

対する「やり手」アナは、ファッションが最先端だった時代のロンドン出身。有名ジャーナリストを父に持ち、自身の兄弟も、また娘も、ジャーナリズムや法律に関する「固い」仕事に就いているという背景を持ってるのです。

この2人の関係や、グレイスの抱えている気持ち、
そしてアナもまた、映画の最後で、感性についてはグレイスにかなわない、という本音を明かしているのですが
感性でジャッジしなきゃいけない仕事を象徴しているなぁと。
感性がなきゃだめ。感性だけでもだめ。
売れなきゃだめ。市場に迎合してるだけでもだめ。

***

あと、ちょこっと思ったことは、日本にもそれなりにとんがったファッション雑誌はあるけど、アナのVOGUEみたいに全世界の先頭に立って誌面づくりをする、なんて気概のあるのはまだほとんどないのだなぁということ。まぁモード系ファッションはそもそも西洋発だから当然かもしれないけど。
でも、雑誌が売れる売れないとか、広告がとれないとか、そういうことじゃない(もちろん大事なんだけど)、もっと根本的なモノ作りの迫力みたいなものの大切さについて、思いました。。。